2006年05月04日
Spellbound
毎年行われる"National Spelling Bee"というコンテストがある。1人ずつステージのマイクの前に立ち、出題者が読み上げる単語のスペリングを1文字ずつ言う。一度間違えればそこで敗退。最後の1人が残るまでそれが続く。小さい頃、「なんでスポーツの全国大会はいくつもあるのに、勉強の大会はないんだろう」と思っていたものだが、アメリカ(だけでなく、英語圏)では70年以上もこういう大会が続いている。
日本での野球の甲子園のような位置づけらしい。学校単位、市単位、地域単位の予選を勝ち抜いた200人あまりの子供達が全国大会に出る。ものすごく人気のある大会なので、生半可な努力では勝てない。アメリカの様々な地域から、様々なバックグラウンドを持った子供達が参加する。この映画は、1999年の全国大会に出場した8人の子供達の話である。
英語が話せない父親を持つメキシコ系移民の少女。シングルマザーに育てられた黒人の少女。田舎に住んでいて、自分の知性が高すぎるために周りと話が合わず孤立気味の少年。アメリカに渡り成功した父親のサポートを受けて勉強に励むインド系移民の少年。貧しい田舎町で両親に愛されて育った白人の少女など。
前半は、子供達とその周辺の人々の紹介になっている。それぞれの子供は面白いぐらいに異なる背景を持っている。貧乏な家庭もあれば中流も金持ちもある。スペリングの勉強を全て本人に任せきりの親もいれば、複数の家庭教師をつける上にスケジュールを組んでやり、トレーニング相手になる親もいる。他の全ての自由時間を犠牲にして Spelling Bee に注ぎ込む親もいれば、「努力するのはいいことだがスペリング以外にも人生に大事なことは沢山ある」と教える親もいる。しかし、自分の賢い子供を誇りに思っていることは全ての親に共通している。
後半は全国大会の本戦になる。ラウンドが進むにつれ1人また1人と敗退していくのだが、その時のインタビューでの話もまた様々である。泣く子、さばさばしてむしろ嬉しそうな子、非常に悔しそうな子。まだ子供の頃にものすごい量の時間をかけて準備し、極度の緊張を味わいながら戦い、敗退する。素晴らしい経験である。
母親の1人は言う。
「これはひとつの形の虐待かもしれない。これだけ努力させて、結果はほぼ確実に酷い失敗なのだから」
父親の1人は言う。
「全力を挙げて難しいものに挑戦することは非常に素晴らしい。成功しても失敗しても、その経験からまた新しいものに挑戦できる。もし人生の全てが簡単なものばかりだったら、その人生には何の価値があるんだ?」
構成も演出も、テレビのドキュメンタリー番組のような雰囲気がある。ハリウッド映画的な砂糖をまぶしたような演出がなく、淡々と描かれているところにも非常に好感が持てる。この映画を見ると、やっぱりアメリカって凄いなあと思ってしまう。
NetflixというレンタルDVDが家に届くサービスにサインアップしてからDVD購入意欲が殆ど湧かなくなっているが、この映画は買って持っておきたい、何度も見たいと思う映画である。ちなみに邦題は「チャレンジキッズ」というらしい。確かにちょっとなあ、ではある。
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