2006年04月26日

もう一度、情報伝達速度を「英語力」の指標にしよう

MASAさんより、前々回のエントリー「情報伝達速度を「英語力」の指標にしよう」へのコメントを頂いた。

実は、スピードに関してはあまり重要視をしていません。というのも、日本語の場合で考えても人によってはゆっくり話しても、相手にストレスを与えることはないからです。よほどせっかちな人の場合はあるかもしれませんが…。

恐らく、僕が考えている「スピードが遅くなる」とMASAさんが考えている「遅くなる」には大きな差があると思われる。自分の母国語を使って、下手な人と会話をする経験があるかないか、日本人と(都市部の)アメリカ人の大きな違いではないだろうか。

僕も、日本語をゆっくり喋る人と会話していてイラつくことは無い。しかしそれは、相手がある程度以上日本語を上手く操れる人の話であり、前回のエントリーで述べた「スピード0.5ユニット」ぐらいの場合である。

極端な例を挙げると、
「こんにちは。お元気ですか?」
「え…?な…ん…ですか?」
「こんにちは。お元気ですか、といったんですよ」
「あ、こんにちは。それで、なんですか?」
「おーげーんーきーでーすか?」
「ああ、はい。そうですね」
「(通じたのか通じないのか分からないなあ…)」
のような会話を僕は5分以上は続けられないと思う。

実際、日本人が仕事の場で英語で何とかやりとりして、とりあえず意思が通じていても、相手がイラついていることは珍しくは無い。親しくなった同僚たちから「あいつの英語は下手で大変だ」みたいな愚痴を聞いたことは1度や2度ではない。それがまた仕事で切羽詰った時ならば尚更である。

英語は総合力である。つまり、絶対的に正しい指標は有り得ない。そう考えると具体的な目標設定が難しい。難しいものを難しいままにしていると、漫然と映画を見て聞き取れるように頑張ったり、メジャーリーグの解説を聞いて頭を抱えたりすることに無駄に時間を費やすことになってしまったりする。

もし目の前に具体的な仕事があり、実際にそれについての意思伝達をしなければならないのならば、とりあえずの目標を定めてみよう。ネイティブの人にイライラされないスピードを目標にするのは妥当ではないか。そのスピードを達成するには、発音も、単語も、文法もそこそこのものを揃える必要がある。具体的に目標設定することで、どの部分を強化すべきかが見えやすくなる。

こういう言い方をすると、「自分は外国語を使っているのだから、相手はもっと気を遣うべき」といった反論が聞こえてくる。それもまた妥当なのだが、自分は誰とでも問題なくビジネスが出来るようになりたいのか、相手の助けを借りた時のみビジネスが出来る程度で十分だと思うかで、最終結論は分かれてくると思う。

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Comment on "もう一度、情報伝達速度を「英語力」の指標にしよう"

こんにちは、偶然たどり着き、初めての書き込みです。楽しく拝見させていただきました。私はSan FranciscoのEast bayエリアにいます。アメリカへは、知人のカイロプラクターを頼って怪我の治療に来ました。話題になっていた伝達速度、「なるほど!」と思いました。話すスピードは慣れで速くなりますが、物事の伝え方は日本語と大きく違いますね。日本人は一般人が専門用語をひとつの単なる語彙として使っていることが多くあると思います。「”頚椎ヘルニア”の治療で来ました。」と英語で言っても通じないことが多くありました。ためしに、頚椎ヘルニアという単語を使う代わりに"The slipped disk in my neck has pinched the nerve of my right arm."と言うと簡単に通じました。"I have a cervical hernia."に比べ、随分説明的で単語量も増えますが、一度で通じるなら伝達速度は速いと解釈できるのではないでしょうか?

  •   カネイム
  • 2006年05月09日 14:41

カネイムさん、
そうですそうです、早口で話すとかゆっくり話すとかは伝達速度の一要素でしかありません。
頚椎ヘルニアの例についても、仰るとおりです。通じない単語を使うよりは、通じる文で説明した方がずっと伝達速度が速いと言えます。「英語力」が少ない人は、単語が通じない時点で立往生になってしまい伝達速度も低くなりますが、すぐに言い換えが出来る人の場合は伝達速度にさほど影響がありません。そういう解釈です。

がりゅうさん、
お返事ありがとうございます。最近日本語を教えています。日本語は、English speakerにとって、日本人が英語を学ぶより、もっと難しいように思います。先日、Subjectの後に続く「は」と「が」の使い分けについての質問がありました。これは日本人ですら文法のルールを知らないのではないでしょうか。さらに英文法を知らないアメリカ人に日本語の文法を教えるのは本当に骨が折れます。また、Eng speakerも日本人と同じように、慣用句やスラングの意味をつかまずに直訳しようとして「???」な文章をくれるのも苦労のひとつです。"I'm gonna hit the hay early tonight."を「今夜は早くに干草に当たります。」と訳された時、授業のプランを変更しようかと本気で考えました(笑)。

  •   カネイム
  • 2006年05月11日 00:21

いつも楽しく拝読してます。柏木です。
ソシュールの言語学だったかでシニフェ(伝える意味たとえば、赤くて甘い木の実であるりんごそのもの))とシニフィアン(日本語の仮名三文字「りんご」とか英語の「apple」)の区別をしてますが、
多分ここでいう総合力とは
1 脳内 (概念整理:言語という思考の作法)
2 シニフィアンとしての言語
において、相違が大きい日本語話者と英語のネィティブとのギャップが小さい状態をさすという解釈をしてみました。
 しかし、これらの定量的な評価はむずかしいですよね。シャノンの定理のように行かないのが人間社会。あるひとが「あれ、ヨロシク」の7文字で済むところが、映像+文字バリバリの資料(数十メガ)を見せて「それでは、○○についてご説明させていただきます」から数千文字コミュニケイトしてそれでも伝わらないこともある。
 しかしながら、最近の日本の4文字略語系(「ワンセグ」とか)など見てると、人間のコミュニケーションそのものが大きくかわりつつあるのだなと思う今日この頃でした。
 なんか、脱線ぎみでしたがこれにて。

  •   柏木
  • 2006年05月21日 06:24

カネイムさん、
"go to bed" の直訳だったら何とかなったのに、惜しかったですね(笑)。母国語を基にして解釈しようとしているうちは仕方のない話かもしれません。例えば日本人が bake, broil, grill, fry の違いをきちんと理解するのは難しいです。全部「焼く」になるので。

柏木さん、
厳密に定量的な評価は、原理的に無理だと思います。前提条件を同一に設定した上で、英語運用能力の低さによる効率の悪化に注目すれば、何か(何を強化するべきか)が見えてくるのでは、という話です。

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