1999年12月14日
僕はここにいるんだ
チャールズ・M・シュルツが入院したというニュースを聞いたのは1週間ほど前だった。具合が悪くなったものの大した心配は無いとのことで、そのまま引退につながるとは思ってもいなかった。
日本では知らない人が多いそうだが、スヌーピーが出てくる漫画のタイトルは"Peanuts"という単純なものだ。ニュースでは"No More Peanuts"と報じている。これからは家族と健康のために時間を使うということで、今日サンタローザのスタジオで描き上げた2月20日掲載分が最終回となるそうだ。
僕は"Peanuts"との初めての出会いは覚えていない。生まれたときから家には単行本があって、まだ字が読めないころから何度も眺めていた。日本語と英語の両方が印刷されていたので、初めて英語を読もうとしたのもその本でだった。高校生、大学生だった頃には英語版を買ってはそこからシンプルな英会話表現を学び、社会人になってからは寧ろ楽しみのためにウェブでしょっちゅう読んでいた。
彼がサンタローザに住んでいること、サンタローザに彼の作ったアイススケート場とスヌーピーギャラリー&ギフトショップがあることを知ったのは3年近く前、初めてのサンタローザ短期出張の時だった。出張中の週末に一人で行ってみると、そこは穏やかな雰囲気につつまれた、賑やかなようで落ち着いた空間だった。その中で僕はすっかり子供の頃を思い出し、あれから20年以上を経た自分が自分の力で太平洋を越えてここまで来たんだということが、とても不思議な気分だった。
それから僕はサンタローザに移り住み、ギャラリーには行きたければいつでも行けるようになった。はじめの頃はちょくちょく行っていたけれど、時間が経つと自然と足は遠のいて、日本から誰かが訪ねてきた時に案内するだけの場所になっていった。そうしているうちに、3年前にたくさん飾ってあった色つきの直筆の絵は全て売れてしまった。以前は朝にスケート場のカフェに行けば必ずシュルツさんに会えたそうだが、しばらくはそれも出来ないだろう。
こういう時に自分がこの町に住んでいることは、またとても不思議な気持ちだ。何かが欠けたような、何かにケリがついたような。こういうのが「1つの時代が終わった」という感覚なのだろうか。
週末に、またあそこに行ってみよう。
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