1999年09月22日
自分の価値に気づいていい頃だぞ
今日、いつものようにみんなでベトナム料理屋で夕食を取っていると、Pさんが現れた。半年ぐらい前に大会社から小さな会社に転職して、億万長者になった人だ。僕たちの間で、彼の名前は何度も話題に登っている。
やあ久しぶり、調子はどうだいとか言って、適当に話をする。みんな気にしているように見えるけど、誰も彼が得た金額の話はしない。みんな顔と名前は知っていてもそんなに親しかったわけじゃないし、する方が変なのは確かなんだけど。
でも、今からその会社に就職したらどうかの話にはなった。Pさんが言うには、買収はされたもののまだまだ社員の募集はしていて、大会社に比べればずっと高い給料も出せるしストックオプションもかなりの量もらえるはずなのだそうだ。履歴書を送ればすぐに人事に紹介してあげる、と言っていた。ここ半年で僕の会社から10人以上がその会社に移ったけど、元同僚からの転職話がどんな風に広がるかのデモンストレーションをここで見たことになるのかな。
Pさんは僕にも言う。
「どうだい、採用するのはアメリカ市民に限っているわけじゃないから、君も応募できるよ」
じゃあちゃんとビザを取ってくれるの?いや、グリーンカードの方がいいかなとか言うと、そりゃ分からないと逃げられてしまった。少なくともシステムを知ってみるいい機会だと思ったのにな、なんて。
そしてその後、当たり前のように転職の話と会社を変わる話、会社を興す話。
「自分はすでに3つのプロジェクトを終えたのに全くストックオプションをもらっていない。全くばかげている」
「俺はこの前ストックオプションをもらったが、たったの200株だ。馬鹿にしている」
「スタートアップの会社で3、4年働いてうまくいけば数百万ドル。シリコンバレーでは平均転職回数は4回以上だし、ベンチャーで成功した人の失敗の平均は3回。みんな(みんな20代後半)そろそろ時間切れ近くなっているぞ」
基本的に、いくら才能があっても大企業の大勢のうちの1人である間は絶対に報われない。すべては、自分は成功するだけの素質と実力を持っている、と言う自信に基づいた話だ。
実際に応募して様子を見てみよう、と盛り上がっている人もいた。すでに大会社に買収されたから1000万ドルを得るのはほぼ不可能だが、ストックオプションをいっぱいもらえるから、地道にでも数年働けば100万ドルぐらいは手が届く。株価が今の調子で上がればの話だから、さすがに「絶対に手に入る」ってわけじゃない。でも、今より少し高い給料とストックオプションがもらえるのなら、転職しない理由はどこにもないなあ。もちろん職種が十分面白ければ、だけど。
「そうだ、みんなで賭をしよう。今ここにいる5人の中で、半年後にこの会社に残っているのは何人か。それから、2年後にここに残っているのは何人か」
久しぶりに若者らしい楽観的話題で盛り上がったような気がする。同時に、国籍によるみんなとの違いも感じざるを得なかったけど。
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