1999年06月01日

即物的な考え方

中途半端に終ってしまったので、昨日の話をもう少し。

はじめて虚数を習ったのは(ああ、懐かしい)、高校1年生の時だった。仙台壱高の佐ト健先生がまず最初に言った言葉を今でも覚えている。

「虚数ってのは "i" と書く。"Imaginary number" の I で、日本語に訳すと架空の数っていうことだ。なんでそんなウソの数を勉強しなきゃいけないんですか、と聞いてくる人がいてちょっと困るんだけど、この数は昔オイラーっていう人が考えたわけだ。んでな、もしタイムマシン使って過去に行ってオイラーさんを殺してきても、きっと誰か別の人がこれを考え付いたはずなんだ。というわけで大事だから始めるぞ。2乗するとマイナス1になる数。なんでマイナス1になるんですかって聞くなよ!まず、そうなるのを "i" って勝手に決めたんだから。これが定義っちゅう奴だな」

最初はかなり乱暴に定義を覚えさせてから、2次方程式を解の公式にしたがって解くと、ものによってはルート(√)の中がマイナスになる場合もあること、i を使って求めた解を方程式に入れ直すときちんとつじつまが合うこと(当たり前だけど)を確認した。記憶が確かならば、それから何週間かかけて、放物線とX軸の交わる条件、複素平面へと話が展開していったはずだ。「実はこういう仕組になってたんだ」と謎解きをしていくことでうまく動機づけされた筋道だったと思う。先生元気かなあ。

いもづる式に思い出した。すべては曖昧な記憶なのだが、ある話を本で読んだことがある。SF作家のアイザックアシモフが文科系の教授とやりあった話だ。教授は言う。
「虚数なんてありもしないものを考え出すんだから、数学者なんて...(失念)」
「何を言ってるんですか、虚数はちゃんと存在しますよ」
「ほお、それでは、ここにチョークがある。私に『i本』のチョークを見せてみろ」
「それは出来ませんが、ではお聞きします。『2分の1』という数は存在しますか?するのなら、『2分の1』本のチョークを見せて下さい」
そんなの簡単だ、と教授はチョークを2つに折って、片方を見せる。
「今あなたが持っているのは1本のチョークですね。どこに『2分の1』本があるんですか? ........ 仮にそれが1本じゃないとしても、長さが元のチョークの 0.48倍や 0.52倍でなく、きっかり半分だとどうやって言えるんですか?」


と言うことで、『2分の1』と言う数は存在しないことになる(反論待つ)。
正三角形だってこの世の中には存在しないし(みんなのアコガレの世の中にはあるらしいが)、目に見せることが出来ないものはたくさんある。それを人は概念と呼ぶ。概念を否定する(不要だ、と言う)のに、「目に見えないから」「自分の周りにない(使わない)から」と言う理由が出てくるのは僕には良く分からない。虚数のおかげで交流電流や、携帯電話の無線通信が出来る(理解しやすく、作りやすくなる)ようになるのだ。インターネットがあった方が便利なのと同じように、知らなくても生きていけるが、知っていた方が世の中の見通しが良くなって気分がいいと僕は思う。そういえば、「インターネット」って、見たことある人はいるのだろうか。

目に見える見えないはあまり気にならない。便利だったら、使った方がいい。

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