1999年03月15日
まあ基本だけどねふふふん
「じぶん更新日記」の偽金貨検出問題を読んで、Santa Rosa に来てすぐの頃を懐かしく思い出してしまった。会社の同僚数人との食事中、まさにその問題が話題に出たのだ。
「12枚のコインがある。この内1枚だけ重さの違う偽物が混ざっている。それが他のコインより重いか軽いかは分からない。天秤を3回だけ使って、どのコインが偽物か、それは重いか軽いかを当てるにはどうしたら良いか」
エンジニアは、基本的に頭脳労働者だ。それはつまり、ある程度は「こいつは頭がいい」と思ってもらわないことには同僚として尊重されない。いや、少なくとも「こいつは馬鹿ではないな」と思ってもらう必要がある。
では、その頃僕はどう思われていたか。まず、日本から来たらしい。若いので、経験はそんなに無さそうだ。話をすると、たどたどしい英語をひどいアクセントで、つっかえながら、自信無さそうに話す。時々何を言っているのかさえ分からない。つまり、普通はこんな人を「頭がいい」と思うのは非常に難しい。
そんな時に出てきたのが、この問題だった。その問題を解いて見せ、更に「3回天秤を使うことで何枚まで判別できるか?」の問題の考え方について説明した。それでいきなりすべてが変わったわけではないが、以前より技術的な討論をする機会が多くなった。そして数学的パズルが有効だと分かった僕は、その後もいろんな人にパズルを出題し、出されたものを解いて見せ、信頼を勝ち得た(?)のだ。
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どうやって、何枚まで判別できるかを知るのか。
天秤を1回使うとき、予想される結果は3通りある。
1.右が下がる 2.左が下がる 3.釣り合う
つまり、もともとあった可能な答の数を、1回の試行で(ベストケースで)3分の1まで減らすことが出来る。たとえば2枚のコインA、Bがあった時、可能な答は3つある。
1.Aが重い 2.Bが重い 3.同じ重さ
これを1回の試行で、1つに絞りこむことが出来る。
では2回の試行ではどうなるか。それぞれの試行には3通りの結果があり、そのコンビネーションになるので、3×3で9分の1まで絞りこめる。つまり、最大で9通りの答のバリエーションがある問題まで解くことが出来る。たとえば「9枚のコインがあり、そのうち1枚だけが他のものより重い。天秤を2回使って...」といった問題が成立する。その問題の答として考えられるのは、9枚のコインをそれぞれA,B,...,Iとすると、 「コインAが重い」「コインBが重い」…「コインIが重い」の9通りなのである。これよりコインの枚数が多くなると、2回では絶対に不可能なのだ。
3回では、3×3×3で27通りである。最初の問題である「コインが12枚で、偽物が他より重いか軽いか分からない」で可能な答えは、「コインAが軽い」「コインAが重い」「コインBが軽い」「コインBが重い」…「コインLが軽い」「コインLが重い」で、12×2の24通りしかない、解けそうである。実際解ける。
しかし、この考え方だと、コインが13枚でも解けそうである。13×2=26で、27より小さい。が、これは不可能なのだ。
まず、1回目の試行を考えてみよう。両方の皿に4枚ずつ(右の皿にABCD、左の皿にEFGH)乗せてみる。
この時に天秤が傾けば、問題はない。たとえば右の皿が傾いたなら、可能な答は「ABCDのどれかが重い」「EFGHのどれかが軽い」の8通りで、次の試行で3通り、次で1通りに絞りこむことが出来る。ところが釣り合った場合、残ったコインは5枚あり、可能な答は「IJKLMのどれかが重い」「IJKLMのどれかが軽い」の10通りになってしまう。これを2回の試行で絞り込むのは不可能である。それでは、と最初に皿に乗せる枚数を変えても、どれかのケースで必ず10通り以上の答が残ってしまう。
問題の設定によって、きれいに1回の試行で3分の1まで絞りこめることもあれば絞りこめないこともある。この問題の場合、それぞれのコインが3通りの可能解(重い/軽い/他と同じ重さ)を持っており、天秤の上に乗せる時にそれが不可分である(重い可能性だけがあるコインと軽い可能性だけがあるコインに分けられない)ところが問題を複雑にしている。
たとえば「27枚のコインがあり、どれか1枚が必ず重い」とか長谷川さんの最後の問題の「26枚のコインがあり、すべて同じ重さかどれか1枚だけが重い」などの問題は、答が27通り予想され、きれいに
27通り→9通り→3通り→1通り
と3分の1ずつ減らすことが出来る例である。
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