1999年02月19日
素晴らしいわ、夢みたい
友人(かつ同僚)Jが、日本への短期出張に出発した。ここしばらく一緒に取り組んでいたプログラムのデモ&説明&ディスカッションをする事になっている。努力と苦労が報われる場面に自分がいないというのは、なかなか悔しいものである。やはりこちらのマネージャと話した時に微妙なニュアンスがうまく伝わらずに、サポートが得られなかったのだろう。話した時には100%OKだと思ったんだけどな。
なんてことを考えながら深夜までテレビをつけっぱなしにしていると、「この番組は~による有料広告です。内容については広告主に責任があり、テレビ局は一切関知しません」というアナウンスとともに、通信販売広告が始まる。深夜はかなりの局が広告番組ばかり。責任持たないものを放送するなよ、と思う人はあまりいないのだろうか?
日本にいた頃もアメリカ直輸入の通信販売番組は見かけたけど、大抵は洗剤とか包丁とかの日用品だった。こちらでなんといっても多いのは「あなたもどんどん痩せられる!」のダイエットプログラムかエクササイズマシン。それから、美容やお金儲け。
番組構成パターンは大体決まっていて、最初は渋い顔の体験者が次々に出てきて、彼らの話で危機感を煽る。
「私は負け犬だったわ。どんどん太って止まらなかった」
「負け犬よ」「負け犬だわ」「負け犬だったんだ」「ただの負け犬」(しつこい)
「いろいろなプログラムを試したけど、全然効かなかったのよ」
「子どもが『ママ、友達に挨拶しないで』って言うのよ」
そして、彼らがもう一度出てくると、みんな一様に笑顔。
「私は生まれ変わったわ」
「人生がこんなに楽しいとは知らなかったよ」
「毎日体重計に乗るのが楽しみで...」
ナレーター登場。いつも女性で、モデルが多いらしい。独自のなんとかかんとか法で必ず続けられる。他の方法とは全然違う。飽きっぽくても大丈夫。健康を害することは全然ない。噛んで含めるように、何度も何度も繰り返す。
いやでも内容を理解させられたところで、権威づけのために医者が登場。ドクターの称号とすごそう(に見える)肩書の字幕つきだ。こちらはほとんどが男性で、若くもなく年寄りでもなく、ほとんどが鬚を生やしている(気がする)。
「私はなんとかかんとかセンターでダイエットプログラムの研究をしている。なんとかかんとか法は最新の理論に基づいた画期的な方法。他のプログラムとは全然違い、安全性も保証されている。どんな人でも継続できるように非常に工夫されている」
よく聞いてみると、自己紹介以外はナレーターの説明を繰り返しているだけだったりする。このシーンには「医者が同じことを言っている」以外の情報はない。
「アメリカは実力主義で学歴社会ではない」と言う人が日本にはたくさんいるが、権威や称号に弱い人なんて山のようにいる。確かに芸術家になりたいとかスポーツ選手になりたいとか言うなら関係ないけれど、かなりの場面では学歴はずいぶんとものを言うし、実際にそれを自己宣伝に使う人も多い。僕の英会話の先生も初めて会った時に「私は英語教授法の修士号を持っている」と言っていたし、引っ越し手続き代行会社の担当者も、聞きもしないのに修士号を持っていると言っていた。修士号が手続き代行にどう役立つかは知らないけれど。
そして、番組の方はナレーターの説明(繰り返し)を経て、ついに値段発表に至る。ここまで10分~15分。その後は、始めからの内容を少し変えながら繰り返して、番組時間の30分をすべて使う。非常にはっきりとしたイントネーションで、何度も何度も同じことを繰り返し説明してくれるので、英語の聞きとり練習にかなりいいかも知れない。飽きさせないように必死に工夫しているし。
昨日のダイエット番組では「2週間で13インチ(30センチ近く)も減った!!」と聞いてびっくり。他の参加者も、2週間で10インチだとか8インチだとか。いくらなんでも多過ぎるだろうと思っていたら、15分を過ぎたあたりでようやく分かった。
「ここで”~インチ減った”について説明しましょう。お腹、おしり、左右の上腕、下腕、太股、ふくら脛でそれぞれどれぐらい減ったかを計測し、それを足し合わせたのが”インチ”です。これによって体全体がどれぐらいスリムになったのかを正確に知ることが出来るのです」
よし、僕がダイエット法を開発したら100ヶ所測ることにしよう。そうすれば100インチ減も夢ではないな。
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